みなさま、こんにちは!
今回は久々に、バスケのファンダメンタルスキルについての解説をしたいと思います。
テーマは、「サイドステップ」です。
サイドステップは、主にディフェンスの場面で足を交差させずに横に動く動作ですが、スライドステップやストライドステップなどの用語が乱立して、それぞれどう違うのか違わないのかがよくわかりませんね。
あと、ミニバスの練習を教えている時に、他のコーチと教え方についての話になって、認識が違っていたので、もう一度調べてみようというのがモチベーションになっています。
色々な書籍を見てまとめてみました。
正しい名称は?
バスケットボール指導教本(改訂版[上巻]、日本バスケットボール協会、2014)によれば、
横方向へ足を交差することなく移動するステップをスライドステップと呼ぶ。(バスケットボール指導教本 改訂版上巻 P58)
と書かれています。さらに、
進行方向の足を踏み出したあとで他方の足を引きつける際、床を滑るような動作になることから「スライドステップ」と呼ばれる。横方向へ足を踏み出すことから、これまで「サイドステップ」と呼ばれてきたが、後述する「クロスステップ」との対比からこの表記を用いる。(バスケットボール指導教本 改訂版上巻 P58)
とも書かれています。つまり、
サイドステップ = スライドステップ
と考えてよいかと思います。ちなみに、この記載は、2002年に出版された改訂前のバスケットボール指導教本でも同様の記載となっており、20年くらい前から変わっていないようです。
では、ストライドステップとは何者なのか。
インターネット上の情報なのでどこまでが正しいかわかりませんが、従来のスライドステップは、進行方向の足(以下、リード足)を出してから進行方向と逆側の足(以下、トレール足)を引きつけるというものであったのに対して、ストライドステップは、トレール足で蹴った力で移動するという概念が出てきたようです。こちらの方が早く移動できることから、今は、こちらが主流になってきているようです。
で、バスケットボール指導教本にも、
▶︎進行方向と反対側の足で床を蹴り、進行方向の足を一歩踏み出す。(バスケットボール指導教本 改訂版上巻 P58)
という記載があり、現時点では、
ストライドステップ = スライドステップ
となっているようです。つまりは、現在では「サイドステップ」、「スライドステップ」、「ストライドステップ」は、全て同じものとして考えてよいと思います。
指導方法について
では、どのように指導したらよいのでしょうか。
指導のポイントとしては、「姿勢」、「足さばき」、「移動時の体勢」が挙げられます。それぞれ、書籍によって書いてあることが違ったり、曖昧だったりするのでちょっと見ていきましょう。
▶︎体重を両足に均等にかけ、股関節と膝を曲げて腰を低くする。
▶︎あごを上げ視線を前方に向ける姿勢をとる。床に視線を落とさない。
▶︎肘をしめて両方の手のひらを相手に向けて、リラックスして構える。
▶︎進行方向と反対側の足で床を蹴り、進行方向の足を1歩踏み出す。
▶︎移動のときに足を交差させたり、上下に飛び跳ねたりしてはならない。
(バスケットボール指導教本改訂版上巻 P58)
さらに
POINT
①進行方向側の足を外側へ大きく踏み出す場合、当然つま先は自然に進行方向に向く。練習のときに、このつま先を身体の前方向に向けることを強調することがあるが、これはいつでも方向転換ができるようにするための足の使い方を身につけるためである。
②自動車の場合の駆動輪に当たる足は、いつも進行方向とは反対の足であり、この足で床をしっかりと蹴ることを強調したい。
③腕を大きく左右に伸ばして練習していると、そのような手の使い方を覚えてしまう。パスを防ぐための動作を覚えさせるのであれば必要だが、シリンダーの範囲を超えるので、その手で相手に触れることはファウルとなる。基本姿勢をまず強調したい。
(バスケットボール指導教本改訂版上巻 P58)
広めのスタンスをキープして、腰を落とした低い姿勢で体が上下に大きく動かないように、横に足を送り出そう。
進行方向の足を踏み出したら、もう一方の足で床を横に押し出すように、横にスライドする。
このとき、足を肩幅くらいのところまで引きよせたら、すぐにつぎのステップにうつることが大切。両足がそろってしまわないように注意しよう。
腰を落として、低い姿勢で、両手の指先を上に向けて、ボールに対するプレーの準備しておくことが大切だ。
(DVDでよくわかるミニバスケットボール上達テクニック P119)
両足で滑ることで重心のバランスを保つ
進行方向に爪先を向け、スライドしていきます。また、滑ることで一気に進行方向を変えますが、足をロックしてしまうと転んでしまいます。スキーと同じようなイメージで考えてください。進行方向側の足で体を引っ張ることと、進行方向と反対の足で蹴ることを同時に行います。
切り返すときは、両足で一気に滑ることがポイント。跳ばないように注意。
(中学生バスケットボール 月刊バスケットボール2017年7月号臨時増刊第45巻第9号 P20)
スライドステップは、両足の歩幅を保ったまま横に移動するが基本。歩幅を狭めながらステップを踏むと、ジャンプするような動作になって上体が上下してしまう。そのぶんだけ腰が高く浮いて重心がズレるため、オフェンスの切り返しに素早く対応できず簡単に抜かれてしまうのだ。両足の歩幅を維持し、常に重心は低く保ったままステップを踏めるように意識して取り組もう!
(バスケットボールトレーニングナビ100+α 白夜ムック417)
ということで、各書籍の共通点をまとめてみると、
姿勢
膝を曲げて腰を低くする、というのは当然共通しているかと思います。ディフェンスの基本姿勢ですね。足幅については、表現が多様ですが、バスケの基本姿勢である肩幅より少し広いくらいと考えてよいかと思います。
手は、脇を締めて指先を上にして相手に手のひらを向けるというのが共通しています。
足さばき
リード足を進行方向に出すと同時に、トレール足で床を蹴って押し出すというのがほぼ共通の解説になっています。トレール足の蹴り出しは股関節を意識すると良いようです。ただし、トレール足を床から話してジャンプするのではなく、トレール足を床上で滑らせるイメージとなります。その際、あまり床に擦りつけるとスピードが落ちてしまいますので、あくまでも滑らせる、まさにスライドさせるというイメージです。
移動時の体勢
・足幅は、基本姿勢(肩幅より少し広め)よりも狭くならないように歩幅を保つ。
・上体が上下しないようにする。
足のつま先がどこに向けるのかについては、議論の余地がありますが、基本的に進行方向に向けて進むが、進行方向を変えたいときには正面に向けることで切り返しが早くなるということです。
ただ、この点については意識して教えなくても自然とそのように動いている人が大半でした。
ここで実際に動きのあるYoutubeの解説を見てみましょう。
これをみると、
・手の位置は、進行方向の手を伸ばして、反対の手をボールチェックのために相手に指先を向ける。
・かかとは床につけない。
といった、新たな指導ポイントがありました。
ということで、スライドステップの指導のポイントをまとめますと、以下のようになります。
- 肩幅より少し広いくらいの足幅で、膝を曲げて腰を低くする。
- 脇を締めて、進行方向の手は、進行方向に伸ばして指先を上にして手のひらを相手に向ける。逆の手はボールチェックのために手を曲げて指先を相手に向ける。
- リード足を横に出すと同時に、トレール足の股関節を意識して床を蹴って押し出す。
- トレール足は、床から離さずにスライドさせて基本姿勢の足幅くらいまで引き寄せる(それよりも狭くしない)。
- 移動中は、上体を上下させない。
- かかとは床につけない。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
バスケ315!
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