最近、ゾーンディフェンスの禁止に関して、色々なうわさが流れていますが、日本バスケットボール協会からその規程が公開されているようですので、その経緯と内容をまとめてみました。
もくじ
JAPAN 2024 TASK FORCE
バスケットボール男子2リーグの問題を解決すべく川渕氏を最高顧問として立ち上げられた「JAPAN 2024 TASK FORCE」の中では、2024年のオリンピックを見据えて、日本代表の強化体制を確立するというプランがありました。
タスクフォース名称に「バスケ」のキーワードが含まれていないことに違和感がありますが、バスケ用のタスクフォースです。
そのタスクフォースの施策の1つとして、15歳以下のマンツーマンオフェンスの推進が含まれていました。
つまり、根幹となる部分は川渕さんが決めたことなんですね。
15歳以下としたのは、8年後には日本代表選手の中心メンバーとなる小・中学生のバスケットボールプレイヤーの育成を目的にしたものだと思われます。
マンツーマンディフェンスを推進することで、オフェンス面、ディフェンス面での1対1の能力を強化して、世界にも通用する選手を育てていこうということです。
「推進」と言っているので、努力義務かと思いきや、ちゃんとした罰則もあり、要はマンツーマンディフェンスをやりなさいということです。
バスケットボールのディフェンスの形態は、大きくは、マンツーマンディフェンスとゾーンディフェンスしか存在しませんので、マンツーマンオフェンスしか認めないということを裏を返すと、ゾーンディフェンスを禁止するということになります。
JBA(日本バスケットボール協会)では、このタスクフォースからの提案に基づいて、15歳以下のマンツーマンオフェンスの推進に取り組んでいくということになり、2016年4月より小・中学生の公式戦でのマンツーマンディフェンスの推進(=ゾーンディフェンスの禁止)が導入されています。
プレイヤーズファースト
このマンツーマンディフェンスの推進に掲げられたテーマとして、
「プレイヤーズファースト」を尊重し、目先の勝利に捉われない長期的視点に立った指導の推進
というものがあります。
これまで、小・中学生の公式戦ではゾーンディフェンスを取り入れられることが多かったようで、それが、チームの勝利へは結びついていたが、プレイヤーのスキル向上の阻害要因であったということが根底にあるようです。
このような施策は、日本独自のものではなく、世界の強豪国ではすでに16歳以下のゾーンディフェンスを禁止していたり、FIBA(国際バスケットボール連盟)もミニバスでは禁止しているようです。
逆に今まで日本が、なぜその国際ルールに従っていなかったのかが疑問ですが。。。
マンツーマンディフェンスの基準
マンツーマンディフェンスとは、その名の通り5人のオフェンスプレイヤ各々に対して、ディフェンダーが1対1でディフェンスを行うものです。
それに対して、ゾーンディフェンスは、各々のディフェンダーは自分のディフェンスエリアをある程度決めてディフェンスを行うもので、特定の人に対するディフェンスではありません。
これまでは、明確な基準がない(必要ない)中でマンツーマンだ、ゾーンディフェンスだとやっていたわけですが、ゾーンディフェンスを禁止するためには、明確な判断基準が必要となってきます。
そこで、JBAはマンツーマンディフェンスの基準規則というものを公開しています。
すべてのディフェンス側プレイヤーは、マンツーマンで、オフェンス側のプレイヤーの誰とマッチアップしているのか明確でなければならない。
としています。この基準は、3ポイントラインを目安にしたマッチアップエリアと呼ばれる場所では常に適用されるということです。
では、マッチアップを「明確」にするとは、具体的にはどうすればいいのでしょうか。
このことについても触れられており、ディフェンス側プレイヤーはそれをアイコンタクト、ナンバーコール、指さし確認などの動作によって明確にする必要があるということです。
マッチアップエリア以外でも、プレスディフェンス時にもそれは適用され、ボールを持っている選手をトラップすることは認められるが、ローテーション後のピックアップを確実にしなければならないとなっています。
オンボールディフェンス(ボールを持ったプレイヤに対するディフェンス)
ボールを持ったプレイヤーに対するディフェンスは、
ボールとリングの間に位置し、距離は最大1.5メートル
となっています。
シュートチェックとドライブを止められる最大距離が1.5メートルということみたいです。
昔、自分が教わったときは、ボールを持ったプレイヤーに対するディフェンスは、自分の手を伸ばしてボールに触れられるくらいの距離と言われた記憶があるので、それよりは余裕を見ているみたいですね。
オフボールディフェンス(ボールを持っていないプレイヤに対するディフェンス)
オフボールディフェンスは、必ずマッチアップ相手のオフェンスプレイヤがどこいるかを感じられる位置にいなければなりません。
また、そのオフェンスプレイヤがポジションを変えた場合、そのディフェンスプレイヤもオフェンスプレイヤとともにポジションを変える必要があります。
そして、スクリーンがない状況でのスイッチ、ボールを保持していないプレイヤーへのトラップは、禁止されています。
コートを縦半分に分けて、ボールを持ったプレイヤーがいるボールサイド、一方のヘルプサイドといいますが、ヘルプサイドのディフェンスは、ヘルプやトラップに行く場合を除いて、最低限片足はヘルプサイドにおく必要があります。
マンツーマンコミッショナーなる人物
この規程によれば、大会の主催者が「マンツーマンコミッショナー」なる人を任命し、この人が判定するということです。
つまり、この人に「マッチアップしているよ」ということを上記の動作でアピールすることになります。
よって、審判の負担が大きいなと思いましたが、審判が判定するわけではないようですね。
罰則規定
マンツーマンディフェンスの規則違反があった場合には、コミッショナーが審判に合図し、ゲームクロックが止まったところで、両チームのコーチをTO席に招き、コミッショナーから内容説明した後に、審判が警告を与える。
1回目は警告ですが、2回目以降はコーチへのテクニカルファウルとなります。
つまり、相手チームに2回のフリースローが与えられ、さらに相手ボールから試合開始となります。
ちなみにコーチへのテクニカルファウルが2回行われるとコーチは退場となります。
このテクニカルファウルは、ミニバスには適用されません。
したがって、ミニバスでは実質的な罰則はないということになります。
マンツーマンディフェンスの推進は、今年度から始まったばかりの施策ですので、今後運用していく上で、少しずつ見直しがされていくと思われますので、ウォッチしていきたいと思います。
そして、この施策が、日本のバスケ界の発展に繋がることを祈っています。
バスケ315!
スポンサーリンク